FPコラム No4
【積立による長期分散投資の「複利効果」とは何か?】
前回NO3では、長く続ければ続けるほど、長期分散投資の複利効果によって、資産が大きくなることが期待できるため、なるべく早く積立による長期分散投資を始めた方が有利であるという点について見ていきました。
今回は、インデックスファンドなど指数連動型の投資信託を使った、積立による長期分散投資をした場合の「複利効果」とは具体的にどのようなことなのかという点について見ていきたいと思います。
⑴ まず、積立による長期分散投資では、今日においては、日経平均株価やトピックス指数、MSCIコクサイ指数などのベンチマークに連動したインデックスファンドなどを利用するのが主流となっています。
インデックスファンドにおいては、インカムゲイン(配当益)を出しつつ、そのインカムゲインは、投資家に分配をしないで、ファンド内で自動的に再投資されるのが一般的です。
そこでは、㋐自動的に再投資されたインカムゲイン(配当益)部分が、㋑元の資産とともに「新たなインカムゲイン」を産みつつ、㋒「新たなキャピタルゲイン」(指数本体であるベンチマークが上昇した分の利益)を産むことになります。(注1)
そして、この上記㋐の部分が、㋑と㋒を新たに生じさせることを、一般的にインデックスファンドの「複利効果」といわれています。(参考資料①)
⑵ 一方で、これらのインデックスファンドは、将来において、一定の利回り(例えば年3%など)が確定されているわけではありません。この点において、いわゆる元本確保型の定期預金とは本質的に性質が異なります。
すなわち、インデックスファンドのベンチマークとなる指数(日経平均株価など)の動き自体や、インカムゲイン(配当益)の数値については、上下のブレ(リスク)が必然的に存在するのです。
言い換えれば、インデックスファンドにおいては、ベンチマークとなる日経平均株価などの指標の値動きは一定ではなく、また、インカムゲイン(配当益)も一定の利回りで生じるわけではないのです。
そのため、インデックスファンドを使った積立による長期分散投資における資産評価額の値動きの推移は、一定の利回りが確保されている定期預金の積立をした場合とは異なり、定期預金の積立貯蓄のような「きれいな放物線」を描くのではなく、実際には「ジグザグ」のチャートを描きます。(参考資料②の赤のグラフ)
⑶【まとめ】
① インデックスファンドを使った積立による長期分散投資において、ある時点における元の資産から生まれたインカムゲインは、分配金として払出をされることなく、ファンド内で自動的に再投資される。
② ①の資産が、新たにインカムゲイン(配当益)とキャピタルゲイン(ベンチマークの上昇分)を生み出すことを、一般的にインデックスファンドを使った積立による長期分散投資において「複利効果がある」といわれている。
③ 指標となるベンチマークの値動きや、インカムゲイン(配当益)の状況に応じて、その資産総額の推移はジグザグな値動き(ばらつき)が生じる。
※(注1)例えば、再投資された後にベンチマークが下落(再投資前の数値から下落)した場合には、逆に、上記㋑、㋒の部分が損失になることから、逆に「損失が発生」してしまう点には注意が必要です。