FPコラム No.1
【投資をすることで、「お金を儲けること」と、「資産を殖やすこと」の違いは何か?】
両者は、投資を手段とする点で共通していますが、投資によって「お金を儲けること」と、「資産を殖やすこと」は、本質的に違っています。
① (目的)の違い
・「お金を儲けること」は、「得すること」、すなわち「損得勘定」がその動機の源です。
・一方、「資産を殖やすこと」は、将来のための「資産形成」であり、「一時的に得する」ためというよりも、将来の生活に備えることを目的としていて、どちらかというと「貯蓄や備蓄」により近い性質があります。
② (スタンス)の違い
・「お金を儲けること」は、「短期的な利益」を得ようとすることで、例えば、「これから株価が上がる銘柄はどれか」知りたがることです。
・「資産を殖やすこと」は、中長期的な資産形成のために投資を続けることであり、むしろ、ビジネスや、事業経営などと共通している面があります。すなわち、様々なプロセスを経て、時間をかけて事業を成長させることに似ています。
③ (性質)の違い
・「お金を儲けること」を追求すると、日々の株価の値動きに一喜一憂します。
・「資産を殖やすこと」を追求すると、長期分散投資が典型例ですが、いちいち投資商品の日常の値動きに一喜一憂するのではなく、投資商品の分散によって、トータルでの全体的な資産額の状況、その動向を把握することに重点を置きます。
私は、例えば、「〇〇社、〇〇業界の株は、これから上がるのか」とか、「これから上がる株銘柄はどれか」といった質問を受けることがありますが、そのような質問には答えることはできません。
そもそも、未来のことはどうなるかわかりませんので、答えられません。
また、「資産を殖やすこと」を目的とした投資を永年続けている方は、そのような質問は、資産形成のためには無意味であることを認識されています。
資産形成のための投資には、「商品価格に影響する要素についての将来の予測分析力」や、「情報収集力」が重要であると考えます。
積立型の資産形成をする場合、「資産を殖やす」という立場に立って、投資を継続される必要があると思います。